ほやは脊椎動物の元祖ともいうべき原索動物の尾索類海鞘目に属し、日本の沿岸部に約200種類います。食用とされるのはほとんどがマボヤです。突起がいくつも出て赤褐色をしたこぶし大のホヤは見るからにグロテスクですが、ひとたび殻の中身を口にすれば、その磯の香りと独特の味・匂いにやみつきになるという人が結構います。
ほやは日本では昔から好んで食べられていました。『延喜式』には三河国の産物として記されていますし、『土佐日記』にも「ほやのつまの飯鮨」として登場します。ナマコをさらに醜悪にしたような外見から、老海鼠と書く場合があります。
立原正秋は『食べものの話』でこう書いています。
「海鞘の塩辛は食べたことがあったが、なまがあんなにおいしいものだとは知らなかった。ちょっと生牡蠣の味に似ていたが、海鞘の方はもっと色っぽい味である。また歯ざわりも海鼠の硬さに似ているが、これは若い女のそれであり、海鞘は中年の女の歯ざわりである」
[名産地]
主な産地は宮城県と岩手県。三陸海岸の沿岸部には天然のホヤが自生しています。
ほやの名産地のひとつに三陸海岸南部の歌津町があります。ホヤのタネをカキ殻に付着させ、そのカキ殻をやまぶどうの蔓にくくりつけていかだから水深約40メートルの海中につるし、4年後に収穫します。
[俳句]
ほや食うて水の旨さや青嵐 立原正秋
曲者の老海鼠(ほや)の粕漬け鄙ぶりし 亜満
[旬]
春の産卵後には筋肉が太るため、5月〜8月が美味しい季節。秋になると生殖巣が太って筋肉は衰退します。
[料理・加工品]
ほやは死ぬとすぐにアンモニア臭が強くなるため、新鮮なうちに食べましょう。海水から上がったばかりのホヤを潮水で食べると最高に美味しいです。身を水洗いすると風味を損なうため、気になる方は酢で洗うことをおススメ。冷凍庫で凍らせて翌日解凍すれば旨みが増すという人もいます。生のまま丸かじりするも良し、てんぷらやから揚げにして食べるのも美味。塩辛や燻製も売っています。
「ホヤはキュウリとともに肥える」と言われ、夏に太ったキュウリと一緒に塩揉みしてあえたり、酢を加えてホヤのキュウリなますにするのも良いです。
野村祐三氏の『漁師だけが食べている直伝浜料理』では、宮城県志津川町に伝
わるホヤの酢のものについて詳細な作り方を紹介しています。
ほやの燻製
宮城の特産品でマボヤのみを使います。作り方としてはまず、内臓を除いて真水で洗い、一口大に切ったものを調味液に漬けます。それを送風乾燥して燻煙処理すれば出来上がり。
[栄養]
亜鉛、タウリン、グリコーゲンが豊富で、最近はハロサイアミンによる抗ウィルス特性が注目を浴びています。マボヤの乾燥粉末は健康食品の素材になっています。
《学名》Halocyntbia roretzi 《英名》common sea squirt 《中国名》 海鞘(ハイチヤオ)
主に北海道で食べられる種類として、マボヤのような突起がないアカボヤ(Halocyntbia aurantium)があります。