塩辛(しおから)

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 塩辛とは魚介類の内臓や筋肉などに高濃度(およそ20%以上)の食塩を加えて熟成させたもののことを言います。昔は魚介類だけでなく、鹿やイノシシなどの獣肉やヒバリ、ウズラなどの鳥肉も塩辛にされました。
 魚介類の細胞は代謝に関わるさまざまな酵素を含んでおり、この酵素(自己消化酵素)がたんぱく質や糖質を分解することで、旨み成分である遊離アミノ酸――グルタミン酸やアスパラギン酸、甘み成分のアラニン・グリシンなど――が増加します。
 熟成中には微生物も増えており、この微生物は乳酸や酢酸などの有機酸を増やして風味を加えるとともに、抗菌作用の面から保存性にも役立っています。
 熟成期間が長すぎると肉痩せしてアンモニア臭が混じり不味くなりますので、長く熟成されれば美味いというものではありません。腐敗の防止や食塩量のバランス、攪拌方法、熟成温度や熟成期間など、塩辛の生産にはさまざまなノウハウが求められます。

 なお、最近は塩分が体に良くないところから、塩分を控えた塩辛が増えています。塩辛に高濃度の食塩を加えるのは腐敗菌の増殖を抑えるためで、腐敗菌を放っておくと長期貯蔵できず旨み成分が増しません。そこで低塩分の塩辛をつくるために低温貯蔵や防腐剤添加・水分活性調整などの工夫を施し、保存期間の短縮を目的に旨み調味料を加えるケースもあります。
 塩辛は一般的に酒のさかなやご飯にのせて食べますが、冷奴の上にのせたり、アンチョビーソースの代わりにスパゲティとあえたりすると塩加減がちょうどよくなります。参考に魚醤もご覧ください。


イカの塩辛
 おもにスルメイカ(マイカ)を原料につくられるもので、製品の色から赤づくり、白づくり、黒づくりの3つがあります。

・赤づくり
 イカの身を皮を剥かずに細切りして用いる方法です。
・白づくり
  皮を剥いたイカの胴部分を使ったものです。
・黒づくり 
 いかの胴内にいかの肝臓と墨を入れて熟成させたものです。約300年前にマグロ漁のエサにするスルメカを塩漬けにしたのが始まりで富山名物のひとつになっています。
 イカの塩辛をつくるには、まず墨袋を破らないよう注意しながら軟甲や内臓、くちばしを除き、胴と頭部を分けて水洗いします。水切りしたあと樽にいれ、溶かした肝臓と食塩を加えてじゅうぶん混ぜ合わせます。


うるか
 うるかとはもともと魚の内臓を意味していました。現在ではアユの内臓の塩辛を言い、岐阜や山口、大分などあゆの産地で作られています。 卵巣を用いたものは「子うるか」、精巣を用いたものは「白うるか」、生殖巣以外のはらわたでつくったものを「渋うるか」、内臓にきざんだ身肉を混ぜたものを「切りうるか」、と呼びます。食塩濃度は20%から40%までさまざまで、製法や熟成期間も業者によって異なります。低塩分の製品は保存や旨みのために何かを添加している場合が多いです。

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 高津川産天然あゆ使用 子うるか
 高津川産天然あゆ 熟成にがうるか(砂抜き)
 高津川産天然あゆの熟成生地うるか


かきの塩辛
 広島の名産物で、3〜5月に採れた粒の大きいカキの剥き身を2年以上熟成させたものです。魚の内臓やイカと異なり消化酵素が少ないため、熟成に時間がかかります。そのままご飯のおかずや酒の肴にして食べます。

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 かきの塩辛(60g)

がんづけ
 がんづけとは「カニ漬け」が訛ったもので、シオマネキと呼ばれる干潟にすむカニの塩辛です。18世紀頃、鍋島藩で考案され、今では有明海の名物となっています。シオマネキを殻ごと臼で挽き、20〜30%の食塩と唐辛子、醤油を混ぜて3ヶ月ほど熟成させます。カルシウムやマグネシウムなどの灰分が4割を占める健康食品です。


このわた このこ くちこ

酒盗
 かつお節を作る際に除かれる胃や腸、幽門垂を30%ほどの塩に漬けて密封容器の中で熟成させたものです。名前の由来は「これがあれば酒を盗んできてまで飲みたくなる」ところから。12代土佐藩主山内豊資候が好んだとされています。
 最近は塩分が少ないものが好まれているため、熟成した製品を20%ほどのアルコール及び2%ほどの酢酸で塩を洗い落とした甘口の酒盗がつくられています。胃と腸だけを取り出して洗ったものは「飯盗」と呼ばれます。


飛島の塩辛魚醤塩辛
 山形県酒田の沖合いに浮かぶ島、飛島では、夏場の脂の少ないイカの肝臓を重量比およそ25%の食塩につけて1年熟成させて魚醤をつくります。普通は調味料として使われる魚醤ですが、飛島ではこれをつけ汁にして、スルメイカアワビサザエの塩辛をつくります。また、飛島鍋や飛島ラーメンのだしとしても使っています。


めふん
 北海道の名産品でサケやマスの背骨に沿って走る背わたを塩辛にしたものです。めふんとはもともとアイヌ語で魚の背綿(腎臓)を意味しています。シロザケやギンザケ、ベニザケなどのサケ類やカラフトマスを用い、秋に獲れるオスのめふんが美味とされています。
 製法はいろいろありますが、一般的に20%前後の食塩を加えて固く締め、薄い塩水で洗い陰干しにして、容器に詰めて半年以上熟成させます。


粒うに
 ウニを塩だけに漬ける「うにの塩辛」は江戸時代以前からありましたが、粒ウニは塩とアルコールに漬けたものです。明治初期に、山口県下関市の沖合いに浮かぶ六連島の西教寺・蓮山和尚が考案したと伝えられています。原材料はバフンウニやムラサキウニ、アカウニの生殖巣。つくり方は、ウニから生殖巣を取り出し、海水中で洗って水切りした後に食塩10%前後をまぶします。これをアルコールの入ったビン入れて攪拌し1〜2週間、寝かせます。塩とアルコールの効果で室温でも1年近く保存が可能です。


スクガラス
 スクは沖縄の方言で生後1ヶ月くらいのゴマアイゴの幼魚のことで、カラスとは塩漬けのことです(カラは辛、スは塩を意味します)。旧暦6月1日前後の大潮の際に大群となって浅瀬に寄ってくる無数のスクを捕らえます。塩水でぬめりを取り除き、水切りした後、高濃度の塩を混ぜ、冷暗所の貯蔵庫で3ヶ月ほど熟成させます。取り出したものに鷹の爪の泡盛漬けを加えると完成します。これを沖縄豆腐(本土の豆腐より水分が少なく固いのが特徴)の上にのせて食べると、ついつい泡盛が進んでしまいます。


ジョッカル(チョッカル)
 韓国・北朝鮮における塩辛の総称です。小エビを用いた「セウジョッ」、カタクチイワシを用いた「メルチージョッ」はキムチの製造に使われます。


マム・ロク
ベトナムでは魚醤や塩辛、なれずしをマムと総称しています。マム・ロクは新鮮な小エビに20%以上の塩を加えてミキサーですりつぶし、箕に敷いつめて数日間、天日干しにし、容器に詰めて熟成させてつくります。1ヶ月で食べられますが、美味しいのは1年以上熟成させたものです。




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