《英名》 icefish 《中国名》 銀魚(インユィ)
キュウリウオ目シラウオ科に属する魚の総称です。体長10cmほどで東アジア一帯の沿岸域や内湾部、汽水域に生息しています。エサは動物性プランクトンで、春に産卵のため河川をのぼってきたところを捕らえられることが多いです。生時には半透明で死ぬと白くなります。
かつては隅田川河口の佃島あたりでもよく獲れました。夜のかがり火に集まってくるシラウオをひさご網や四手網ですくう漁民の姿が浮世絵などに描かれています。
シロウオとは姿も食べ方も似ており、よく混同されますが、シロウオはハゼ科に属する魚です。(→シロウオ) シラウオはシロウオと異なり背びれと尾びれの間に「脂びれ」があります。
[俳句]
あけぼのやしらうおしろきこと一寸 松尾芭蕉
白魚や椀の中にも角田川 正岡子規
白魚やまじりたる藻の透きとほり 中村汀女
[主産地]
霞ヶ浦、青森、宍道湖、揖斐川など。
[旬]
初春
[料理]
生きたまま踊り食いされるほか、鮨だねや吸い物の具、卵とじ、揚げ物、フライ、佃煮などにされます。
シラウオの踊り食い
開高健は『新しい天体』で松江のシラウオを実に美味そうに表現しています。
半透明の華奢な身体に黒い大きな目がついているところを「病みがちな、おびえやすい少女」と表し、竹籠にどさっと移される大量の白魚をトコロテンの流れに喩え、舟の上で辛子酢みそ入りの丼鉢に一杯入った取れたてのシラウオを食べて次のように語っています。
「とれたてのシラウオは魚の生臭さなど一刷きもなく、プリプリとしていて、歯ごたえも、舌触りも、精妙である。いきいきとした、あざやかなほろにがさが舌に広がり、舌をひきしめてくれる。その味がのこっているところを熱い酒でじわじわと洗うのである。酒を歯で漉し、舌にのせ、ころころころがし、歯ぐきにしみこませ、香りを鼻へぬきしてから、ゆっくりとのどへ送る。舟がゆれる。水が鳴る。風が頬を切る。熱い霞がほのぼのとのぼってくる。頬へ、眼へ、胸へひろがっていく」
イシカワシラウオ 《学名》Salangichthys ishikawae 全長約6〜8cm
アリアケシラウオ《学名》 Salanx ariakensis
全長13〜15cmほどの大型で日本では有明海沿岸に生息しますが、環境悪化により漁獲高が激減しています。