鮭(さけ)

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  『日本釈名』や『和訓栞』によると、サケの語源は「裂け」で、その身肉が裂けやすいことに由来しています。サケといえば日本では伝統的にシロザケを意味し、ほかのサケはマスに分類されていました。キングサーモンはマスノスケという和名ですし、ギンザケやベニザケは以前はギンマス、ベニマスと呼ばれていました。サケはアイヌの人たちにとって最も重要な食べ物のひとつでカムイチェプ(神の魚)と呼ばれ、身肉だけでなく白子や氷頭(ひず)――頭部の軟骨――、胃腸、心臓、肝、目玉などを生のままで食べたり、干したり凍らせたりして食べます。
 英語のサーモン(salmon)は「跳躍」の意味で、一般に海で暮らすことのあるサルモ属の魚はサーモンと呼ばれ、淡水で一生を過ごすものはトラウト(trout−マス)と呼ばれています。
 サケ目サケ科の魚は世界で11属66種が知られ、日本ではそのうちイトウ属、イワナ属、サケ属、サルモ属が知られています。
 以上、参考文献は 『最新のサケ学』 帰山雅秀(著)
 
[栄養]
 サケの赤みはアスタキサンチンで強力な抗酸化作用があり、体内ではビタミンAとして働きます。 


シロザケ(サケ)
《学名》 Oncorhynchus keta  《英名》 chum salmon  《中国名》 鮭魚(グイユィ)

 北太平洋の全域、日本では主に東北・北陸・北海道に生息し、産卵期になると河川を遡上します。秋から冬にかけて産卵し、孵化した稚魚は川を下っておよそ4年ほど海中で回遊生活を続けます。産卵のため川に戻ろうとして沿岸に近づいてくるものは秋味(アキアジ)と呼ばれます。これはアイヌ語で秋の魚を意味するアキアチェプに由来しています。川を上るに従って銀色の体色に赤紫色の婚姻色があらわれます。このようなサケは「ブナ」と呼ばれ、肉色は赤みをほとんどうしなって商品価値が落ちます。最も美味しいのは春から初夏にかけて沿岸付近にやってくる時不知(トキシラズ)です。
 シロザケのなかでも体が輝くような銀色をしているものは銀鮭(ギンザケ)、銀毛(ギンゲ)と呼ばれます。また、筋子・白子がほとんど発達していない年齢3〜4歳の成熟前のサケは「鮭児(ケイジ)」と呼ばれ、脂がたっぷり載ってトロのように美味いと評判で、近年極めて高値で取引されています。

[主産地・名産地]
 北海道(特にオホーツク海沿岸)
 東北・北陸 ※ 新潟県村上市は鮭料理で有名。

[旬] 
 春〜初夏のトキシラズは脂がのって刺身や塩焼きに適しています、
 秋に川を上る手前で取れる婚姻色の出ていないアキアジは、脂分が少なく油焼けしないので新巻鮭に適しています。

[料理]

チタタップ
 氷頭(ひず)――頭部の軟骨――や白子、えら、 ひれ、胃腸、目玉などを細かく叩いてネギのみじん切りと塩をまぜあわせたアイヌ料理です。

酢憤(すむつかり) ・すみつかり・しもつかり
 鍋の底におろし大根を敷き、薄くスライスした氷頭(ひず)と千切りにしたにんじん、油揚げを並べ、炒り大豆、ほぐした酒粕を入れ、酢を加えて煮込んだ上に醤油と砂糖で調味した料理です。平安時代の『宇治拾遺物語』にも登場する伝統的な料理で、下野国(栃木県)の代表的な郷土料理になっており、栃木ではしもつかリと呼ばれます。

チャンチャン焼き
 サケを2枚におろしジャガイモや玉ネギ、モヤシ、キャベツなどとともに鉄板にのせ、焚き火で焼いて白味噌ダレをかけて食べる野趣にあふれる料理です。

ルイベ
 サケの身肉を半凍状態にして薄く切って刺身にしたもの。アイヌ語で「解凍した食べ物」を意味する「ルイ・イペ」に由来します。

三平汁
 昆布と塩ザケでダシを取り、鮭のあらや大根やニンジンなどと一緒に煮込んだ鍋料理。

 野村祐三氏の『漁師だけが食べている直伝浜料理』は、宮城県石巻市牡鹿町に伝わるサケの腹子飯について詳細な作り方を紹介しています。

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鱒之介(ますのすけ)/キングサーモン
《学名》 Oncorhynchus tshawytscha  《英名》 king salmon

 クログチマス、フキマス、オオスケ、スケ、バトウなどとも呼ばれます。サケ属で最も大きく全長1.5mを超えるものもいます。下顎部の歯の付け根が黒いことから別名クログチマス。ふつうカムチャツカ半島からアラスカ・カナダ西海岸にかけての大きな河川をのぼります。

[料理]
 脂肪分が豊富で値段が高く、ステーキやムニエル、スモークサーモンなどにされます。

紅鮭(ベニザケ)
《学名》 Oncorhynchus nerka nerka 《英名》 red salmon

 サケ属のなかでは最も高温に弱く、また、プランクトンを食べるためエラに生えた櫛歯状突起がサケ属のなかで最も多く密生しています。サケの仲間のうちで最も赤みが強く美味。ムニエルやルイベ、フライ、寿司だね、ステーキ、燻製、缶詰などにされます。

 ヒメマスは、海中生活を送らず湖などに永年生息するベニザケの陸封種です。体長25cmくらいで北海道の阿寒湖などで生活する原産種が本州の湖にも移植されており、十和田湖のヒメマスが有名。これは和井内貞行が1903年から手がけたもの。

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銀鮭(ギンザケ)
《学名》 Oncorhynchus kisutch  《英名》 silver salmon

 ギンマス、アマメ、コクレなどとも呼ばれます。全長1mほどで頭の背部分や背びれなどに黒い斑点があり、尾びれには銀白色の線が扇状に広がっています。身肉の赤みはベニザケやキングサーモンより薄いですが、カラフトマスよりは濃く、ややオレンジ色を帯びています。
 日本の沿岸部では天然物の水揚げは少なく養殖ものやカナダ・チリからの輸入ものが多いです。


樺太鱒(カラフトマス)
《学名》 Oncorhynchus gorbuscha 《英名》 pink salmon

 体長60〜70cmで北太平洋、オホーツク海、ベーリング海沿岸の川をのぼります。サケの缶詰にされるのはほとんどがこのカラフトマスです。


虹鱒(ニジマス)
《学名》 Oncorhynchus mykiss 《英名》 rainbow trout

 体やひれに無数の黒い斑点があり、体側中央部がうっすらと赤紫色に染まっているのが特徴。別名ギンスケ、ホンマスなどと呼ばれます。以前はタイセイヨウサケ属に分類されていましたが、1989年よりサケ属に編入されました。原産地は北米大陸及びカムチャツカ半島。1877年にカリフォルニアから日本に移入され、現在では沖縄を除く全国各地の釣堀で見られます。原産地では川を下って海生するものもおり、スチールヘッドと呼ばれ、体長が1メートルを超えるものもいます。
 日本で養殖されているものは体長20〜40cmで、おもに塩焼きやバター焼き、甘露煮などにされます。

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桜鱒(サクラマス)/ヤマメ
《学名》 Oncorhynchus masou 《英名》 cherry salmon

 一般に川を下って海に降りるものはサクラマスで体長は50〜60cm、一生を河川や湖で暮らすものはヤマメと呼ばれ体長は30cmほどです。マスの仲間では最も脂肪が多く美味です。
 加賀名産の鱒ずしはサクラマスを用いてつくられます。




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