スズキ目サバ科マグロ属の魚です。温帯〜亜熱帯の海を大回遊する大型魚で、泳ぐのをやめると死んでしまいます。日本近海で見られるのはクロマグロ(ホンマグロ)、キハダマグロ、ビンナガマグロ、メバチマグロ、コシナガマグロで、ミナミマグロは南半球の温帯域に生息しています。
縄文時代の貝塚からマグロの骨が発見されていることから判るように、日本人は昔からマグロを食べていました。しかし、好んでよく食べられるようになったのは、定置網漁が発達した江戸後期以降で、生身を醤油に漬けて保存性を高める「づけ」が普及したことにもよります。
[栄養]
DHAやIPAを極めて豊富に含むほか、動脈硬化を防ぐセレン、コレステロール値を低下させるタウリンを多く含みます。
最近は欧米のスシブームや中国経済の発達により、マグロの需要が急速に増えています。
[水揚げ港]
・黒潮に乗るルートは、鹿児島の油津(3〜4月)、高知の土佐清水(4月頃)、和歌山の那智勝浦(4〜5月)、静岡の焼津・清水(5〜6月)、神奈川県の三崎(6〜7月)、宮城県の塩釜(7月頃)、青森県の大間(9月〜12月)、北海道の戸井(9月〜12月)
・対馬海流に乗るルートは、対馬(3〜5月)、佐渡(7月〜1月)
※ちなみに、美食家として知られる陶芸家の北大路魯山人(1883-1959)は、三陸の宮古でとれるしびまぐろ(ホンマグロ)が最も美味いと書いています。
赤身の刺身は脂が濃いため醤油がつきにくいので、新鮮な大根おろしに醤油を染ませて食べるのが良いそうです。
[名産地]
・青森の大間や北海道の戸井で冬季に獲れるマグロは脂がたっぷり乗って最高です。
[料理]
かぶと焼き
頭の部分には脂たっぷりの頬肉などけっこうな量の肉が骨にへばりついています。オーブンでじっくりとグリルします。
頬肉のユッケ
頬肉を厚めにそぎ切りにして、コチュジャン、生卵と混ぜて食べます。
まぐろ茶漬け
炊き立てのご飯の上に、まぐろを数切れと大根おろしをのせ、醤油をかけてから濃い煎茶を注いで食べます。
マグロの茶碗鮨
村井弦斎が『食道楽の献立』で紹介している料理で、醤油、みりん、酢を1杯ずつの割合にしてよく煮詰めてから火からおろし、あらかじめさいの目に切った「羊羹のような」マグロの上肉をその中にいれ、あつあつのご飯の上にのせます。わさびや刻みネギ、ミョウガ、シソ、もみのりなどを薬味として加え、ご飯とよくかき混ぜると実に美味いとのこと。
その他、白子のステーキやハラミ(横隔膜)の塩焼き、スペアリブ、ホシ(心臓)の串焼き、胃袋の味噌和え、えらぶたの酢みそ和え、皮の酢の物、しゃぶしゃぶなど全部分が利用されます。
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クロマグロ(ホンマグロ)
《学名》 Thunnus thynnus 《英名》 bluefin tuna
マグロの仲間で最も大型で、通常は2mくらいですが大きなものは4m以上に達します。赤身が濃く、胸びれが短いのが特徴。大きさだけでなく味の面でもマグロ類で最も優れており、脂の多い腹身の「とろ」は鮨だねの最高級品の一つ。中骨の肉は「中落ち」と呼ばれて丼や鮨だねになり、内臓はあら煮や鍋物に使用されます。
[旬] 11月〜2月
※2006年5月に近畿大水産研究所(和歌山県白浜町)が、奄美大島に新たな養殖施設を完成させました。さて、お味のほうはいかがでしょうか?
べっこうずし
伊豆や駿河・遠江、伊豆諸島などの料理で、まぐろの大きな切り身の上に醤油、みりん、砂糖で作った甘いタレを塗って握ったスシです。名前の由来はタレの光沢のある褐色がべっ甲の色に似ているところから。握り寿司だけでなく箱ずしにする場合もあります。タネもまぐろに限らず、白身魚やイカ、イセエビなどを使うこともあります。
キハダマグロ
《学名》 Thunnus albacares 《英名》 Yellowfin tuna
全長1〜1.5mで細い体型。名前の由来は表皮が黄色っぽいことから。 肉色は淡紅色で脂肪が比較的少なくさっぱりとした味わい。旬は6月〜8月で特に西日本で好まれます。刺身や鮨だね、山かけ、角煮などにされるほか、シーチキンのライトミート、魚肉ソーセージの原材料にもなります。
ビンナガマグロ (ビンチョウ・トンボ)
《学名》 Thunnus alalunga 《英名》 Albacore tuna
全長50cm〜1m。名前の由来は胸ビレが極めて大きいことから。マグロにしては白っぽく薄桃色をしています。照り焼きやステーキのほか、新鮮なものは鮨だねにも用いられます。シーチキンのホワイトミートというのは、このビンナガマグロを使用したものに限られています。(ライトミートにはキハダマグロやメバチマグロ、カツオが使われます)
メバチマグロ
《学名》 Thunnus obesus 《英名》 Bigeye tuna
2mほどの中型種で名前の通り目がぱっちりと大きく、また胸びれが長く全体にずんぐりと太っています。キハダが関西で好まれるのに対し、メバチは関東で好まれます。
[旬] 4月〜6月 この季節の近海ものはクロマグロより美味と言われています。
ミナミマグロ(インドマグロ)
《学名》 Thunnus maccoyii 《英名》 Southern bluefin tuna
南半球の亜熱帯から亜寒帯の海域を中心に回遊します。クロマグロに似ていますが、目が少し大きく胸びれがやや長い。赤身が濃く、クロマグロに次ぐ美味しさです。インド洋で獲れるものは肉色が黒っぽく加工品に回される傾向が強いです。夏から秋にかけてクロマグロの代用品として市場に出回ります。